予想通り仕事が立て込みまともに休憩を挟めないまま定時を少し過ぎたところで片付いた。
「雫、行くよ〜」
逃走するとでも思ったのか、昼間自分に泣きついてきた同期が先にタイムカードを切ったはずなのに事務所のエントランスで待っていた。
苦笑しながらメイクくらい直させてと化粧室へ寄り、その後は彼女一緒に食事会の会場へと向かった。
不安があった食事会は思ったよりも楽しめ、酒が進んだ。
とりわけ弱くは無い方だったが、男性陣達が意外にも話し上手だった事もあって、気付けば自制を忘れて色々な酒を体に入れていた。
「雫、ここで大丈夫?」
どうやら内数人は二次会に向かうらしく、先に帰宅すると言った雫には同期の女子がタクシー前まで付き添ってくれた。
「ん、大丈夫だよ〜これ乗って帰るだけだし」
二次会楽しんでね、と笑顔で手を振れば正気を保った様子に少し安心したのかそれに返すように同期も笑い、遠くで待っていたメンバーの元に駆け寄っていった。
雫もタクシーに乗り込み、自宅の住所を告げて軽く息を吐きながら背もたれに寄りかかった。
久しぶりに飲み過ぎた。頭がふわふわする。
車の揺れが妙に心地よく、睡魔に負けないようにと思い鞄からスマホを取り出せば丁度いいタイミングで着信が入った。
「はーい、もしもしー」
間伸びした声で電話に出れば、地を這うような低音が耳を刺激した。



