【原版】それは麻薬のような愛だった



「……」

そしてやはり、そんな伊澄を見ても他人事のようにかっこいいなと思うだけでそれ以上は何も感じない。


ーーだとしたら、何故。



そんな思考を巡らせてるうちに車は目的地についたらしく、車が停車し二人は車を降りた。

着いた先は予想通りラブホテルで、無人のエントランスを抜けて伊澄が部屋のパネルを操作するのをぼんやり眺めながら黙って立っていた。
その後歩き出した伊澄の後ろに続いてエレベーターで部屋のある階に上がって廊下を進み、指定したであろう部屋に入った。


ラブホテルに入るのが初めての雫はそのいかにもな造りに口の端が緩んだ。

すると近づいてきた伊澄が雫の肩を掴み、そのままゆっくりと抱き寄せた。


「い、いっちゃん?」

以前は無かった行動に少しばかり動揺した。

けれどすぐに体は離され近づいてくる顔にすぐに頭は冷え、ゆっくりと目を閉じた。


キスをした瞬間、込み上げてくるであろう不快感を覚悟した。




……が、何故か一向にそれがこない。



「!?…ちょ、まっ…ーーっ」

まさかの出来事に信じられず驚いて伊澄を押して離れるも、それを許さないとばかりに強く引き寄せられ、今度は更に深い口付けが降ってくる。


「んっ…んぁ…」


口内をぬるりと犯してくる舌を感じても、聞こえてくるのは自分の甘い声。
角度を変え、頭を押さえつけられ、弄られてもあの競り上がってくる吐き気は一ミリも来ない。