「わたしのために、死んでくれる?」
みんながするような、軽い愛なんか求めてない。
わたしのために尽くして、わたしのために壊れて、わたしのために死んでくれるような、そんな愛が欲しい。
「もちろん。君のためならどこまでも落ちていくよ。」
微笑みながらわたしの髪を撫でる彼。
その彼の目はどこか虚で、それでもわたしを見つめてくれていた。
彼とは昨日出会った。
元彼に重いからと振られ全てが嫌になった昨日。
わたしの気持ちに応えるような大雨。
フラフラとした足取りで家の近くにある橋に向かう。
手首は赤で濡れていた。
「こんな雨の日に、何してるの?」
後ろから声をかけられる。
傘も刺さずに雨に濡れながらこちらを見つめる男。
「別に、なにも。」
目を逸らしながら言う。
「そっか。」
そのあとは何も言わなかった。
人がいる前では降りれないからわたしは何もできなかったし、なぜか男もずっといた。
「「あの」」
しばらく経ってもなんの変化もないから、思い切って声をかけてみたが思ってることは同じらしい。
「あ、先にどうぞ。」
相手に先に言うことを託す。
「あ、どうも。」
えっと、と周りを見渡す男。
「うち、来ませんか?」
「え、?」
急な誘い。
普段だったら断っていた言葉。
でも、全てがどうでも良くなっていた今のわたしは正常な答えなど出るわけがなかった。
名も知らない男についていき、家に入る。
お風呂に入るように言われ何も考えず言われた通りに行動する。
女の服が出てきた時は驚いた。
男もわたしの後にお風呂に入る。
やることがひと段落したのか、わたしが座るソファの隣に男が座った。
「俺さ、今日彼女に振られたんだよね。」
突然の告白。
「愛が重すぎるって。私には耐えられないって。これが俺にとって当たり前のことだったからそれをやってきただけなのにさ。」
『お前さ、重すぎるんだよ。俺にはお前みたいなのあってないわ。』
好きだった元彼に言われた言葉と、重なった。
「だから、俺あそこから飛ぼうと思ったんだ。今まで彼女一番で生きてきた。彼女以外いらないと思って生きてきた。そしたら今彼女がいない俺はいらないなって。そしたらさ、君がいた。」
今まで前だけをみて話してた男はこっちをみた。
「失礼だけど、この子も俺と同じだなって思った。大切なものを失った目をしてた。どうせ何もない俺なら何やってもいいかと思って家に誘った。ついてくるとは思わなかったけど。」
彼も同じなんだ。
涙が溢れた。
なぜか振られた時に出なかった涙が今全て溢れてきた。
彼も同じように泣いていた。
しばらく2人黙って涙を流した。
誰にも理解されない愛の形。
いま、ここにいる2人にだけは言葉にする前に理解しあっていた。
涙が落ち着いてきた頃、急に男がわたしのうえに覆い被さってきて首に手をかけた。
今までの男とは違う鋭く冷たい目。
「今までの女は、俺様を好きなように使って捨てやがった。」
指にゆっくりと力がこもる。
「俺様たちは、ただ相手に尽くしてきただけなのに。」
息がしづらくなる。
「誰にも理解されなくなって、どうせ1人になるなら…!」
あぁ、この人なら。
「ひとりは、いやだよ…、」
自然と言葉に出た。
「っ!」
手が緩む。
「わた、しも、だれにも、理解されなかった。相手が好きで、ずっと一緒にいたくて。ただ、それだけだったのに、」
止まったはずの涙がまた流れる。
「1人になるくらいなら、同じあなたに、殺されたい…」
わたしの答え。
ひとりがいやだ。
でもずっと一緒にいてくれる人はいない。
なら、同じものを求めている彼と一緒に堕ちていきたい。
でも、彼はゆっくりとわたしの上から降りて、わたしを起き上がらせた。
「ごめん。苦しかったよね。」
彼の目はいつのまにか元に戻っていた。
「ううん。大丈夫。」
「同じ人に会ったのは初めてだ。そんな人を、簡単に殺したくない。」
彼は後ろを振り向き部屋を見渡す。
今まで気にしていなかったが、彼の部屋には黒いゴミ袋がたくさんあって、匂いもきつかった。
「このゴミ袋はね、好きだった人の数なんだ。みーんな、俺が、いや、もう1人の俺がやったんだけどね。それでもやめろと言わない俺も同罪か。」
ふらりと立ち上がり、一つの袋に手をかける。
窓に手をかけガラリと開ける。
風が吹き込みカーテンが靡く。
何をするのかと思ったが突然袋を窓の外に投げた。
他の袋も次々と投げ捨てる。
全て捨て終わった後、ゆっくりとわたしの方に振り返る。
「きみは、僕を見捨てないよね?」
初めてみた彼の笑顔。
どこか歪で不自然な笑顔。
わたしはゆっくりと立ち上がり彼の頬に手を添える。
「うん。あなたを1人にしない。だから、あなたもわたしを捨てないで?」
「当たり前だよ。」
いつのまにか、陽は上がっていた。
雨も止み、太陽が顔を出す。
「わたしのために、死んでくれる?」
「もちろん。君とためならどこまでも堕ちていくよ。」
みんながするような、軽い愛なんか求めてない。
わたしのために尽くして、わたしのために壊れて、わたしのために死んでくれるような、そんな愛が欲しい。
「もちろん。君のためならどこまでも落ちていくよ。」
微笑みながらわたしの髪を撫でる彼。
その彼の目はどこか虚で、それでもわたしを見つめてくれていた。
彼とは昨日出会った。
元彼に重いからと振られ全てが嫌になった昨日。
わたしの気持ちに応えるような大雨。
フラフラとした足取りで家の近くにある橋に向かう。
手首は赤で濡れていた。
「こんな雨の日に、何してるの?」
後ろから声をかけられる。
傘も刺さずに雨に濡れながらこちらを見つめる男。
「別に、なにも。」
目を逸らしながら言う。
「そっか。」
そのあとは何も言わなかった。
人がいる前では降りれないからわたしは何もできなかったし、なぜか男もずっといた。
「「あの」」
しばらく経ってもなんの変化もないから、思い切って声をかけてみたが思ってることは同じらしい。
「あ、先にどうぞ。」
相手に先に言うことを託す。
「あ、どうも。」
えっと、と周りを見渡す男。
「うち、来ませんか?」
「え、?」
急な誘い。
普段だったら断っていた言葉。
でも、全てがどうでも良くなっていた今のわたしは正常な答えなど出るわけがなかった。
名も知らない男についていき、家に入る。
お風呂に入るように言われ何も考えず言われた通りに行動する。
女の服が出てきた時は驚いた。
男もわたしの後にお風呂に入る。
やることがひと段落したのか、わたしが座るソファの隣に男が座った。
「俺さ、今日彼女に振られたんだよね。」
突然の告白。
「愛が重すぎるって。私には耐えられないって。これが俺にとって当たり前のことだったからそれをやってきただけなのにさ。」
『お前さ、重すぎるんだよ。俺にはお前みたいなのあってないわ。』
好きだった元彼に言われた言葉と、重なった。
「だから、俺あそこから飛ぼうと思ったんだ。今まで彼女一番で生きてきた。彼女以外いらないと思って生きてきた。そしたら今彼女がいない俺はいらないなって。そしたらさ、君がいた。」
今まで前だけをみて話してた男はこっちをみた。
「失礼だけど、この子も俺と同じだなって思った。大切なものを失った目をしてた。どうせ何もない俺なら何やってもいいかと思って家に誘った。ついてくるとは思わなかったけど。」
彼も同じなんだ。
涙が溢れた。
なぜか振られた時に出なかった涙が今全て溢れてきた。
彼も同じように泣いていた。
しばらく2人黙って涙を流した。
誰にも理解されない愛の形。
いま、ここにいる2人にだけは言葉にする前に理解しあっていた。
涙が落ち着いてきた頃、急に男がわたしのうえに覆い被さってきて首に手をかけた。
今までの男とは違う鋭く冷たい目。
「今までの女は、俺様を好きなように使って捨てやがった。」
指にゆっくりと力がこもる。
「俺様たちは、ただ相手に尽くしてきただけなのに。」
息がしづらくなる。
「誰にも理解されなくなって、どうせ1人になるなら…!」
あぁ、この人なら。
「ひとりは、いやだよ…、」
自然と言葉に出た。
「っ!」
手が緩む。
「わた、しも、だれにも、理解されなかった。相手が好きで、ずっと一緒にいたくて。ただ、それだけだったのに、」
止まったはずの涙がまた流れる。
「1人になるくらいなら、同じあなたに、殺されたい…」
わたしの答え。
ひとりがいやだ。
でもずっと一緒にいてくれる人はいない。
なら、同じものを求めている彼と一緒に堕ちていきたい。
でも、彼はゆっくりとわたしの上から降りて、わたしを起き上がらせた。
「ごめん。苦しかったよね。」
彼の目はいつのまにか元に戻っていた。
「ううん。大丈夫。」
「同じ人に会ったのは初めてだ。そんな人を、簡単に殺したくない。」
彼は後ろを振り向き部屋を見渡す。
今まで気にしていなかったが、彼の部屋には黒いゴミ袋がたくさんあって、匂いもきつかった。
「このゴミ袋はね、好きだった人の数なんだ。みーんな、俺が、いや、もう1人の俺がやったんだけどね。それでもやめろと言わない俺も同罪か。」
ふらりと立ち上がり、一つの袋に手をかける。
窓に手をかけガラリと開ける。
風が吹き込みカーテンが靡く。
何をするのかと思ったが突然袋を窓の外に投げた。
他の袋も次々と投げ捨てる。
全て捨て終わった後、ゆっくりとわたしの方に振り返る。
「きみは、僕を見捨てないよね?」
初めてみた彼の笑顔。
どこか歪で不自然な笑顔。
わたしはゆっくりと立ち上がり彼の頬に手を添える。
「うん。あなたを1人にしない。だから、あなたもわたしを捨てないで?」
「当たり前だよ。」
いつのまにか、陽は上がっていた。
雨も止み、太陽が顔を出す。
「わたしのために、死んでくれる?」
「もちろん。君とためならどこまでも堕ちていくよ。」



