もう出来損ないでは無い。最後まで、やり遂げてやる。



決意を固める。もう後戻りは許されない。


月岡伊和という存在を自分の手でなくしてやるんだ。





フェンスを震える足でまたぐ。そして、フェンスの間のわずかな足場に着地する。



フェンスを握って何とか平衡感覚を掴んでいる状態だ。



両手の手汗の量は、今にも滴り落ちて来そうな程だ。



ゆっくり左手を離す。生ぬるい風が吹いたせいか、若干手のひらが涼しい。








「さよなら、世界。」







そう、一言言い残す。





右手を離し、前のめりに体を動かした瞬間、全身が勢いよく下へ堕ちて言った。