バツイチ美女と 御曹司

もう自分も三十一歳だ。

この二~三年は特に仕事も忙しかった
こともあるが、年齢的にその気もない女と
付き合おうという気にはならなかった。

マリの事は今思えば、一目惚れだった。

花に話しかけているマリを見て、
胸にずんと来たのだった。

そしてマリが作った花束を見て堕ちたのだ

気付くのにかなりかかったが、こうして
マリと会ってマリの優しさや周りに対する
気遣いの細やかさ、そしてとても
謙虚なところが、裕の庇護欲を搔き立てる。

会って別れるとまたすぐに会いたくなる。

マリは裕にとって麻薬のようなもの
なのかもしれないと、
裕は切なくなるのだった。



マリも、裕との関係については悩んでいた。

仕事の話で上司と食事に行くのは
よくある事だと思うのだが、
そんなに仕事の話などしない。

裕はいろんな話をしてマリを
笑わせてくれる。

そしていつもきちんとマリのことを
エスコートしてくれるのだ。

道路を歩く時も必ず道路側に裕は立つ、
人込みでもマリがぶつからないように
気を付けて守ってくれる。

この頃はたいてい歩いているときは
手をつないでいる。

これが上司と部下との関係とは
いくら鈍感なマリでも思えない。