バツイチ美女と 御曹司

「はい、ひょっとして兄をご存じですか?」

「知ってるも何も大学の時からの友人だよ。
そういえば離婚した妹がいたなあ、
あっとゴメン気配りも何もない
無神経な言葉だった。」

「いいえ、ホントのことですから
気にしてません。
帰国してから二~三回帰っただけで、
働き始めたらなかなか帰れなくて、
時々電話がかかってきて顔見せに来いって
叱られてます」

「そうか、あいつシスコン気味だもんなあ」

とすっかり打ち解けた口調に
なってしまった裕だ。

友人の妹ということで
素の顔が出てしまっている。

マリはくすっと笑って

「副社長なんだか仕事の顔してませんよ」
というと

「だって紘一の妹だったなんて知ったら
すましてなんかいられないよ。
ホテル・ルミエール東京への出店も、
俺が橋渡ししたんだ。
ルミエールの親会社の結城グループの
跡継ぎが俺たちの仲間でもあったし
紘一もよく知っているよ」

すっかり僕が俺に変わっている。

でもそれは指摘せずにスルーしておく。

マリが次々出てくる料理に
すっかり魅了されていたら

「マリさんは何でもおいしそうに食べるね。
ニコニコと豪快に食べてくれるので
一緒に食べていて楽しいし
こっちも食が進むよ」