バツイチ美女と 御曹司

「ごめんなマリ、マリを守れなくて
傷つけてしまった。俺の責任だ。
マリは俺に何も相談できなかったんだね。
クソ親父が相手の女性を俺が気に入った
みたいに言ったからだろう?
絶対そんなことないからな。
騙されて連れていかれたんだ。
新しい会社の役員の顔合わせの食事会だと
言われて言ったら、振袖を着た女性がいて
それでわかったんだけど、そのまますぐ
帰るわけにもいかず、お相手が帰った後
親父にはしっかり言ったんだ。
結婚するつもりの人がいるし今一緒に
暮らしてるって、その時にはそうかなんて
言っといて、陰でマリに策略を巡らせてた
なんて、思いもしなかった。
でも、もう心配ないよ。全部解決した。
だから迎えに来たんだ。
一緒に帰ってくれるね?
どうしても親父が許せないなら、
俺は円山花壇を辞めるよ。
マリと一緒に東京の郊外で小さな花屋を
やってもいいんだ。マリの夢だろ?
俺の一番はマリなんだよ。円山花壇じゃない。
藤原マリという一人の可愛くて優しくて
お花が大好きな愛しい女性なんだよ。
マリがいれば他には何もいらない。
マリと二人なら、何でもできる。
俺の太陽光発電機だからな。
マリがいないと動けないんだよ」

裕はそこまで言ってくれた。


太陽光発電機にはちょっと?だけれど、

マリは自分の夢にこだわってはいない。

マリの一番も裕のそばにいることだ。

裕の為にご飯を作って、一緒に毎日笑い
あって暮らすことだ。

朝起きたときに裕が隣にいる幸せ、
裕の優しさに包まれて毎日お花に向かい
合っていたい。

小さなお花屋さんでも円山花壇という
歴史も実績もある大きな会社でも、
裕が隣にいてくれれば、
そこがマリの居場所なのだ。

バツイチの自分でいいのかと、いつも心の
どこかで引け目を感じていたマリの弱さが
みんなに迷惑をかけたのだと思い知る。

「ほんとにバツイチの嫁でいいの?
お父様たちに納得してもらえるかな?」

と心細そうなマリの言葉に

「大丈夫だよ。椿だってバツイチ子持ちだよ。
それがどうしたって親父に食いついてたよ。
それに三人で花屋を始めようって言って、
円山花壇なんかすぐに追い抜いてやるって
言って親父を蒼白にさせてたよ。
そういえば、優依さんが親父の事、
明治大正脳って言ってたな」

と言って裕は、思い出して大笑いした。

マリもつられて笑いながら優依の言いようが
社長に申し訳ないが電話で笑ってしまった
のを思い出した。


優依ってホントに頼りになる姉御なのだ。

すぐに椿や優依たちに連絡したいけれど、
今は東京は真夜中だ、夜の遅い時間に電話
することにした。

その後、二人でランチを済ませてマリと裕は
ナタリーの事務所に挨拶に行った。

ナタリーはよかったと言って喜んでくれた。

マリがいて事務所が気持ちよい空間に
なっていた。

スタッフのサポートもしっかりしてくれていた
ので、マリがいなくなるとみんな困るけれどね。

と言って笑っていた。

裕はナタリーに日本酒を持ってきているので、
それも渡したいので後日研吾も含めて四人で
食事をと言ってくれた。

ナタリーは喜んでOKしてくれたのでまた
連絡すると言ってナタリーの事務所を辞した。

祐は昨日の夕方にはニューヨークに着いて
いたらしい。

すぐにマリの所に行こうとするのを、研吾が
引き留めて、まずナタリーに連絡させたらしい。

それで今日の再会になったということだ。

冷静になるようにそして、きちんと話すことも
自分の中でまとめてから、マリにあったほうが
いいとたしなめられたと、恥ずかしそうに裕は
伝えてくれた。

昨日はホテル・ラ・ルミエールNYの研吾の
スイートに一緒に泊まらせてもらったらしい。