バツイチ美女と 御曹司

でもみんながマリ、マリと言って気軽に用事
を頼んでくれるようになってうれしくなった。

少しでもスタッフの役に立てているのなら
よかった。

そんなふうにして1週間が過ぎたある日。

ナタリーにランチに誘われた。

二人でセントラルパークを抜けていこうと
いうことになった。

事務所はセントラルパークウエストの通り
沿いにある。

いつも事務所の行き帰りにセントラルパーク
をまじかに見て歩いている。

この季節は桜も咲いて空気もさわやかで、
特に朝はきもちがいい。

天気のいい日は少し早く家を出て、
ひと駅前で地下鉄を降りて、
わざとセントラルパークを歩いて
事務所に行ったりしてしまう。

桜を見ると東京の目黒の桜を思い出して、
少し切なくなる時もあるけど、
でもセントラルパークのウエスト沿いを
歩いていると気持が柔らかくなる。

やはり自然の癒しにはかなわない。

そんな事を思いながらナタリーの横を
歩いていると

「あっ、事務所に忘れ物しちゃった。
マリ、そこのベンチに腰掛けて
ちょっと待ってて」