バツイチ美女と 御曹司

ゆったり歩いて景色を楽しんでいるのは
ほとんどが観光客だ。

ベンチに座って地図を広げて話し合っている
カップル。

桜を見上げながら楽しそうに散策する人々、
ベンチで本を読んでいる人もいる。

まだ約束の時間までには一時間近くあるので、
さくらに囲まれた散策道にあるベンチに
マリも腰かけた。

ここは車両通行禁止なので車は通らない。

その代わりなのか?人力車が観光客を乗せて
走っていく。

楽しそうだ。

そんなふうに人間ウオッチングをしながら
ゆったりとした時間を過ごした。

マリの服装は、七分袖の白のコットンの
カットソーに鮮やかなブルーの
コットンパンツそして麻の生成の
ジャケットも腕に掛けてきた

これらは全て裕と一緒に買い物に行って
裕が買ってくれたものだ。

今マリの周りにあるもののほとんどは、
あまりに物を持たないマリに呆れて、
裕が揃えてくれたものなのだ。

そんな事を思い出すと、なくした未来が、
どんなにマリにとって大切なものだった
のか思い知らされる。