バツイチ美女と 御曹司

怒っても笑っても意地悪い顔をしても
それこそ口を開けて無防備に寝ている姿も
様になる。

マリは一ケ月前に社長から、裕と別れて
円山花壇をやめてほしいと言われてから
今日まで決して泣かなかった。

一度泣けばきっと止まらなくなる。

一緒に暮らす裕にわからないはずは
ないので泣けなかったのだ。

いつも泣きそうになるとぐっと堪えて胸が
重くて痛くて喉に大きな塊が詰まったようで
たまらなかった。

今はもう誰にはばかることもなくマリは声を
あげて泣いた。

裕との写真を胸に抱きしめて、裕の名前を
呼びながらベッドが涙でぐしゃぐしゃに
なるまで泣き続けた。

泣き疲れてまた眠ったようだ。

気が付くとお昼はとっくに回っていた。

パンパンに張れた目を見て笑えた。

とりあえず冷たいタオルで目を冷やして
サングラスをかけて出かけることにした。

思いっきり泣いて少し胸が軽くなった
気がする。

マンションの一階にパン屋さんがあった。

昨晩は気付かなかったが、イタリアンの
お店もある。