バツイチ美女と 御曹司

椿は裕を心配して電話をかけたが、
話し中でつながらずマリにも電話をかけたが、
こちらは電源が入っていないという
アナウンスが流れるだけだった。

裕はどうしているのか椿は居てもたっても
いられず、娘の愛理を母親に頼んで、
裕のマンションまで行った。

裕はマンションにいなかった。きっとマリを
探して心当たりをかけずり廻って
いるのだろう。

椿は裕が不憫でならなかった。

円山花壇の跡取りというだけで、自分の愛する
人とも結婚できないなんて今頃そんな話が
あるなんて、父親の常識を疑う。

椿は裕を今夜一人にできなくて二時間ほど
ドアの前で待っていたが、帰ったら連絡して
と書いたメモをドアに挟んで帰った。

裕に心配している者がいることを知って
欲しかったからだ。

無茶をしないことを祈りつつ、
日付が変わるころ椿は帰宅した。

裕はマリのマンションに真っ先に
出かけたがマリはそこにはいなかった。

多分マリはもう日本にはいないかもしれない
と思っていた。

マリの事だ。
これだけ用意周到に姿を隠したのだ。

パリかロンドンにまた行って
しまったかもしれない。