バツイチ美女と 御曹司

そういって優依はわんわん泣いてくれた。

優依が泣いてくれたおかげでマリは平静を
保っていられた。

その夜、裕に甘えて抱かれてマリは裕との
最後の夜を素敵な気持ちで過ごした。

次の日はマリはお休みだったので裕を
見送ると、すぐにスーツケースに残りの
物を詰めて昼前にはマンションを出て、
その足で成田空港へ向かった。

実家には何も話せないままだった。

兄の紘一と裕は友人なので下手なことが
言えず成田から兄に事情を書いた
手紙を投函した。

椿にも何も言えていない。

不義理なことをして申し訳ないと思いつつ
これでいいのだと自分を納得させた。

その夜仕事を終えてマリの手料理を楽しみに
帰ってきた裕は部屋に明かり点いていない事
を不審に思いながらマリの名前を
連呼しながら、リビングの扉を開けた。

テーブルの上にマリの書置きがあった。

≪裕さん 幸せな日々をありがとう。
裕さんは円山花壇の副社長として正しい選択
をして下さいね。
遠くから裕さんの幸せを祈っています。
それから椿さんにありがとうございましたと
伝えてください。
社長とけんかしないでね。マリ≫