バツイチ美女と 御曹司

マリはどこか冷めた気持ちで社長の話を
聞いていた。

どこかで解っていたのだと思う。

裕と結婚するなんてできるはずがない事
自分自身でも結婚に希望が見いだせない事
でも裕が好きで大好きで愛してしまったのだ

裕と暮らしてマリは、初めて幸せって何かを
知った気がした。

裕の為に食事を作って朝起きると隣に
眠っている裕の顔があり、その腕の中で
目覚める日々は何物にも代えがたかった。

裕に抱かれ快感を教えられた。

梅原では感じたことがない欲情だった。

裕を愛して初めて人を愛することを知った。

梅原との結婚生活に愛情はなかったと
気付いたのは裕との暮らしがあったからだ。

梅原には申し訳なかったが、ただ流されて
梅原に強引に結婚させられたのだと今では
理解できる。

でも、こんなことはこんな幸せは長くは
続かないといつもどこか不安だったのだ。

いつか誰かに目を覚ませと言われるだろう
と思っていたのだ。

きっと、無意識のうちに自分にブレーキを
かけていた。

だから裕が二人の事を隠す必要がないと
言っても、マリは頑なに裕とのことは
内緒にしてほしいとお願いしてきた。