バツイチ美女と 御曹司

十六区は高級住宅街でもあるらしく、
素敵な建物を見ながら、ゆったりと歩いて、
時々裏道に迷い込んだりしていた。

パリの裏道はどこをとってもパリらしく、人々は
パリに住んでいることを誇りに思い暮らしを
楽しんでいる様子が玄関の前庭や窓の飾り
などに感じられて、飽きる事がなかった。

休日の一人歩きもマリのパリでの楽しみの
一つになったのだ。

でも、最も観光に推されている
ルーブル美術館は行ったことがなかった。

親友たちにパリに一年もいてルーブルに
行かなかったなんてと呆れられたものだ。

マリはそんなことを想い出しながら夕飯を
作って裕の帰りを待っていた。

祐にスケジュールの変更を告げると、
その日はマリと出かけるつもりで自分も休みを
取っていたらしく、残念がったが仕事の一環
だからと、送り迎えしてくれることになった。

そして帰りにどこかで外食をという話に
落ち着いた。

ミッシェルの自宅に再度訪れた日、
クロエは玄関で待ち構えていた。

小さな白の籐の手つきのバスケットに、
ピンクやブルーや白のお花で、カラフルで
キュートなアレンジを作ってきたので
クロエにプレゼントすると、大はしゃぎで
自分の部屋に飾ると言って喜んでくれた。

シェフとの打ち合わせが終わり、
クロエとたっぷり遊んで、その後ミッシェルと
三人でランチを頂くことになった。