バツイチ美女と 御曹司

梅原は夜、日付が変わるころに
帰宅したようだけど、
客間で寝ていたマリには声はかけずに
寝室で寝たようだ。

マリは朝はやく梅原が起きる前に
家を出て実家に向かった。

いつもは用事で先に家を出る時は、
梅原の朝食ををきちんと用意して
おくのだけれど、今日はそれも
スルーした。

そして実家に行く前に駅前のカフエで
モーニングを食べた。

マリの実家は神田にある老舗の和菓子屋だ。
父の代で4代目だと言うことだった。

今は兄の紘一(こういち)が五代目の跡を
とり経営の全般を担っている。

兄は菓子機を増やし、菓子工房を充実させて
練り切りや精巧な飾りつけの和菓子とは別に
機械で作る菓子も充実させていった。

父は根っからの職人なので好きな和菓子
作りに没頭できる今の環境を、
喜んで楽しんでいるようだ。

マリが結婚した翌年、兄も結婚した。

父は実家に離れを建てて、そこで
母の位牌の入った仏壇を守って
一人気楽に暮らしている。

兄たちは母屋をリフォームして父と
程よい距離で仲良くやってくれている。

兄嫁の祥子(しょうこ)も
よくできた人で父とも仲がいい。