バツイチ美女と 御曹司

裕の靴を眺めながら自分の持ち物が
貧相だなあと、ここでも御曹司の裕の生活
レベルがマリのそれとはかなり
違っているのを実感した。

特にロンドン、パリにいた二年半は無駄な
物はなるべく買わず、節約生活だった。

いつまでもエントランスのシューズクローク
にいるマリを心配して裕が

「どうした?そんなところでボーっとして
片付かないの?」

心配して見に来てくれたらしい。

「ううん、裕さんの靴がすごくたくさん
あるなって見てた。
私の靴は三足だけでこれでも生活に
困らないから、こんなにたくさんの靴が
あってすごいなあって、さすが御曹司様?」

「なんだよ。それ」

と言って声を上げて裕は笑った。

「俺、靴が好きなんだ。
新しくスーツを買うと靴までほしく
なったりとか、普段はスニーカーが多いから
いろんな色や新商品が出るとつい
買ってしまうんだ。
マリこそ女の子なのに三足しかないって
少なすぎじゃない?
普通は少なくても十足はあると思うよ。
それに服も少ししか持ってこなかった
だろう?今度買い物に行こうな」

と言ってマリの頭をなでる。