シスコン兄の溺愛彼女

俺の不穏な心の内を本能で読み取ったのか、
廣川が引いた目をして、言う。

「頼むから、犯罪だけは犯さないでくれよ〜?ダチが犯罪者とか勘弁だからなぁ〜?」

「俺がそんな奴に見えるのか?」

「今日はじめてお前が犯罪者予備軍だって知ったのさ」

「失礼な奴」

「気を付けろよ?」

「俺と亜優ちゃんは夫婦になるんだ。犯罪なんか犯してる暇なんかない」

「だからそういうことだって?くれぐれも暴走するなよ?」

「わかってるよ」

「(ほんとかよ…)」

隣の美しい、けれど頭のおかしい男に怪訝な視線を寄越して、廣川は一抹の不安を胸に抱えた。