シスコン兄の溺愛彼女

アメリカ、ロサンゼルにある高級ホテル。
時刻は午前0時を回ったところ。

その最上階のスゥイートルーム、情事の跡が色濃く残るベッドの上。
そこに寝転ぶある男。綺麗な艶のある黒髪をかきあげ、タバコを吹かす男の視線の先には、滅多に掛けてくることはない相手からの着信。

タバコをくわえたまま、相手の名前を確認する。

「電話〜?誰なの?」

隣の裸の美しい女が、着信音で起きたのか眉間に小さく皺を刻みながら尋ねる。

「俺の大切なやつだよ」

「ふーん、煩いから早く出てよ」

「はいはい」


未だ、鳴り続けるそれを指先でスライドさせる。

「…なんだよ」
『お前、どういうつもりだ!!!』

俺と電話口の人間の声が重なる。