「亜優ちゃん、今帰り?お疲れ様♡」

「あ、紫音さん、お仕事お疲れ様でした」

「また今日も偶然会っちゃったね?亜優ちゃん、この後時間ある?良かったら一緒に食事でもどうかな?」

(お願いっ!頷いて?本当はそんなに腹は空いてないけど、亜優ちゃんと一緒にいたいんだっ)

「あ、今日はどうしても見たいテレビがあって、時間までに帰るつもりなんです」

ーーーガーンッーーー

「ああ、…そうなんだ…急いでるんだね」
(ええ、一緒にいれないの?)

「えっと、紫音さんさえよければ、今日は部屋で一緒に食事どうですか?」

「…いいの?」

「?はい、今日はピザを宅配する予定でしたので、それでも良ければですが」

「っいいに決まってる!さぁ、早く行こう?!」

俺は亜優ちゃんを横抱きにして抱き上げた。

「えっ、やだっ!降ろしてください!自分で歩けますっ」

「俺に抱き上げられるのは嫌?」

「…っ、嫌とかではなくて、恥ずかしいんですっ、」


そうしてそのまま、すぐそこにある亜優ちゃんの部屋まで一度も降ろすことはなかった。

真っ赤な食べ頃のトマトみたいに頬を赤く染め、手のひらで隠す亜優ちゃん。
(そんな食べ頃目の前にあったら食べちゃうよ?いいの?)