タイセツナモノ

２．仲を深めるため

親に連絡をした私は、拓也先輩の家に上がらせてもらった。明日が週末ということもあり、親は全然いいとの事だった。
拓也先輩の家の中は、とても綺麗で広かった。周りを見渡すと、所々に引っ掻いたのか傷が出来ていた。気になった私は、そっと近づいてその傷を触ろうとした────が突然、拓也先輩が大声を出した。
「駄目だ！！！！」
鋭い声が響き渡り、私はびっくりして思わず後ろに倒れ込み尻もちをついた。
「た、拓也…先輩…っ？」
私は混乱し、震えながら拓也先輩を見上げた。
怖かった。とても。突然だったのと、そんな鋭い声を出すとは思わなかった。普段の拓也先輩は、元気で明るく優しい先輩だから、こんな声を出すとは考えられなかった。
「…拓也、お前……どうしたんだよ」
冬馬先輩が、私の傍に駆け寄り私を立たせて守るように私を庇ってくれた。
「…ごめん、ちょっと……俺おかしいかも、今日は2人で寝て…俺は部屋で寝るから、…ごめん」
悲しい笑顔で言って、そのまま拓也先輩は階段を上っていき扉をゆっくり閉めた。

私は今も、怯えていた。
なんで、あんなことを言ったのか。なんで、あんなに悲しそうな顔をしたのか。