タイセツナモノ

友達は、そのまま病院に運ばれ死亡したことがわかった。
私は、泣き叫んだ。
夜も眠れなくて、毎日声を殺して泣いていた。
そんな日が、続いた。
でも、ある日から────

「……」
泣くことが、出来なくなった。いや
どうでもよくなって、もう泣くことをやめた。
お母さんやお父さん、おばあちゃんからはこう言われた。
「大丈夫?」「どうしたの?」「具合でも悪い?」
すごく、心配された。でも、私はいつもこう返した。
「大丈夫だよ」って。
そうしたら、みんな笑顔になるから。
私も笑って、誤魔化した。
言う度に、チクチクって心が痛むけど。そんなの気にせずに、自分の中の自分を抑えて笑顔を作る。
これが、自分を抑えるために一番効果的な方法だったから。
これが、最適だったから。