翠くんは今日もつれない【完】

翠くんから貰う『可愛い』という言葉がなんだかくすぐったくて、照れ隠しをするように、少しだけきつく言うと「からかってないよ」と真剣な声が返ってくる。

え、と驚いて顔を上げると、ヘーゼル色の瞳が真っ直ぐにあたしを見つめていた。



「俺、初めて会った時からずっと羽依さんのこと可愛いって思ってるし」

「え、」

「それに、今日の羽依さんはいつも以上に可愛くて、天使に見える」

「てん、し、」



翠くんの口から砂糖菓子よりも甘い言葉が、溢れ出てくる。あたしはその言葉の数々にドキドキして、赤面するばかりだった。

おかしい、絶対におかしい。

恋愛経験で言えば、あたしの方が翠くんよりあるはずなのに。


あたしばっか、翻弄されてる気がする。