翠くんは今日もつれない【完】

「なんでよー!」即答で否定するあたしに頬をぷくっと膨らませて不満げな顔をする碧心。いやいやっ、却下だよ。却下。

碧心は一体、何を考えてんのっ。



「20歳の女子大学生が16歳の男子高校生に手を出すのは事案でしょ」

「羽依ってば高1の時に10歳上のリーマンと付き合ってたくせして年の差なんてちっぽけなこと気にするんだね。意外」

「ぐっ、あたしの黒歴史が…っ」



碧心の言葉に古傷が思いっきり抉られる。

あの人と付き合ったのは若気の至りだった。大人の男の人ってかっこいいなぁっと、歳上に対する憧れを抱いていた当時の愚かなあたしはバ先で出会った10歳上のリーマンに言い寄られるまま考え無しに付き合って、大火傷を負った。


そして、、無垢な翠くんを穢してしまった。


あたしよりもずーっと小さかった頃の翠くんの美しい瞳が大きく揺れ動く姿が、鮮明に思い出される。


あたしはこれを今の今まで忘れてたんだよ?

すっごく最低な女じゃん。