翠くんは今日もつれない【完】

───「「きゃああぁぁぁぁああっっ!!!」」



そして、突如上がる黄色い声。

おどろいて、周りを確認すれば、あたし達以外にも、吉野くん達のやりとりを見物していたギャラリーは大勢いたようだ。つまり、ここにいる全員が、吉野くんとお姉さんの、、あの熱烈なキスを目撃したわけで。

その事に気づいたお姉さんは「えっ、え、、??
いつの間にこんなに人いたの!? てか、今の見られてた!??」と困惑した様子で声をあげて顔を赤らめる。



「まあ、、ばっちり、見られてたね」

「なんで翠くんはそんな余裕なの?!」

「別に俺はキスしてるの他人に見られても何とも思わないから。なんならもっかいする?」

「っ、しませんっ!!」



吉野くんの冗談にお姉さんはご機嫌を損ねてしまったようで、頬に空気を溜め込むと、ふん、とそっぽを向いてしまった。

お姉さんのその姿に吉野くんは、ははっ、と声を上げてとても楽しそうに笑う。

あんなに笑う吉野くん、初めて見た。



「あれには、誰も勝てんわ」



いっちゃんが、ぽつり、呟いた。全くその通りだとあたしも頷く。


あのお姉さんなんだ。吉野くんが、ずっとずっと一途に思い続けていたのも、"翠くん"って呼んで欲しいって思うのも。


全部、全部、あのお姉さんだけ。

あのお姉さんが吉野くんの"特別"なんだ。


そんなのに、誰も勝てるわけないでしょ。





かてないな、
[END]