翠くんは今日もつれない【完】





「───すいく、んっ、ぁ、」



俺の下で羽依さんが甘い嬌声を上げた。恥じらいながらも快楽に溺れる顔も、俺だけを見つめてくれる瞳も、全てが可愛くて、愛おしくて。

こんなの、がっつくなって言う方が絶対におかしい。

汗ばんだ額に張り付いた前髪を払いのけて「羽依さん、可愛いです」と羽依さんに微笑みかけると、何故か急に羽依さんの両手が俺の目元に当てられて、視界を奪われる。



「羽依さん。手、邪魔だから、退けて。」

「やだ、」

「なんで」

「い、いまのあたし、絶対可愛くないから、、翠くんにはみないでほしいの…」



……何を言っているんだ、この人は。

あなたに初めて会った日から今日まで。俺は羽依さんのことを可愛いって、ずっと、ずっと、思い続けているのに。

はあ、と溜め息を吐くと俺の視界を邪魔する小さな手を退かした。そして、現れたのは、頬を赤らめて、もはや泣いてるって言った方が正しいくらいに瞳を潤ませた羽依さんの顔。



「(ほら。やっぱり、可愛いじゃん)」



じっ、と見下ろしていると「みないでっていったのに…」と羽依さんは唇を尖らせて、少しだけ不満げに呟いた。



「俺の目が気になるなら、そんなのどうでも良くなるくらいに気持ちよくしてあげようか?」

「えっ!?それは、ちょっと…っ、ぁっ、」



身を捩って逃げようとする羽依さんの腰を掴んで引き戻すと甲高く甘い声が鼓膜を揺らす。それだけで、俺の理性が弾け飛んでしまったのは、言うまでもないだろう。


可愛いって思うのも、欲しいって思うのも、触れたいって思うのも、羽依さんだけ。


俺はあなたしか、いらないんだ。




あなたしか、
[END]