翠くんは今日もつれない【完】

あなたしか、




「……羽依さん、大丈夫?」



ベットの縁に腰掛けて、ぐったりと横たわる羽依さんにキャップを開けたペットボトルを「はい」と差し出すと、布団にくるまっていた物体が、むく、と起き上がって「…ありがと」とそれを受け取った。

無理させたのが良くなかったのか、ペットボトルの飲み口に唇を当てて、ごく、ごく、と水を飲みながら俺に鋭い眼差しを送る羽依さん。

正直、羽依さんに睨まれても凄みがなくて、全然怖くないんだけど。

膝の上で頬杖を付いて「ん?」と羽依さんに視線を返すと何故か、ふい、と顔を逸らした。



「え、何」

「さっきの、色々と思い出しちゃって、、恥ずかしく、なりました…」



後になるにつれて徐々に語気が弱まっていく。

恥ずかしそうに俯いて垂れ落ちる長い髪を耳に掛けると真っ赤になった耳が顕になった。

なにそれ。



「は?可愛いかよ」

「……翠くん、なんでキレ気味なの?」