安心して、違う意味で泣きそうになって、つい顔を覆った。きっと今、さっきよりも変な顔をしている気がするから。だってまさかひおからそんなことを言われるなんて、少しも考えていなかった。
「えっ、あ……ごめんなさい……急、ですよね……」
だけど正面からひおの不安げな声が聞こえてきて、すぐに手を退けた。違う、勘違いしてほしくない。早く、言いたい。
「ううん、待って、違くて」
「え……」
「それ、俺から言おうと思ってたから」
大事なことだから、ちゃんと目を見て言う。そうすればひおは瞬きをたくさんした後、恥ずかしそうに笑った。
「よ、よかった……」
「ねぇ、俺ばっかりプレゼント貰ってどうすんの」
「ええ、こんなのがプレゼントなんて、」
「全然こんなのじゃない」
──ずっと、想っていた。だけどずっと、叶わないと思っていた。
好きな子には幸せになってほしくて、でも、自分の手で幸せにしたくて。そんな矛盾が、いつも胸の中にあった。
だから今目の前で起きているのは、俺にとっては奇跡みたいなもので。
「ひお」
「は、はい……!」
「付き合おっか、俺たち」
その奇跡を俺は、この先ずっと抱えたまま離さないだろう。
「はいっ、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
ひおが笑うから、つられて笑う。そんな日々がこれからも続きますように、と。ひおの笑顔を見て、強く願った。
「そういえば……先輩にもうひとつ、言いたいことがあって」
観覧車を降りてぶらぶら歩いていると、ひおが急に立ち止まってそう言った。またぎゅっと手を丸めて、こちらを真っ直ぐに見つめる。
「ん? 今度はなーに?」
「あの……その……」
顔を赤くしたひおに目線を合わせれば、彼女は1歩こちらに近づいて。それから、小さな声でこう言った。


