願うなら、きみが


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「そっかぁ〜星谷くんと話したんだぁ〜」

「うん。なんかね、昨日ので完全に、今までなんとなく残ってたものが消化できた気がする」

「よかったよかった。陽織が納得して終われたんだったら、私はどんな結果でも受け入れるからねっ!」

「ふふ、ありがとうあーちゃん」



昼休み、昨日星谷くんと会ったことをあーちゃんに話した。星谷くんとはあれからちょっとだけお互いの最近の話をして、最後は笑って別れた。やっと、本当の友達に戻れた気分だ。



「てか珍しいね、メロンパンじゃないの。売り切れてなかったのに」

「あ……今日はうん、なんとなく」



指摘されて、声が小さくなる。購買でパンを買ったのだけれど、今日はメロンパンを選ばなかった。抱えているのは、由真先輩が好きと言っていたジャムパン。そんなに美味しいのかと気になって、気がつけばこっちを手に取っていたのだ。



「ねねっ、陽織も一緒に来ない?」

「え、なんでよ」

「今仁くんから連絡来て、由真先輩と4人で食べよ〜だって」



あーちゃんが向けてくるスマホの画面には、確かに仁先輩からお誘いのメッセージが来ていた。元々はあーちゃんと仁先輩ふたりのランチタイムだったはずなのに、いいのだろうか。



「そ、そんな、邪魔しちゃ悪いよ……!」

「でも陽織来ないと由真先輩と3人で食べることになるけど、そっちの方が変じゃない?」

「それは……そうだけど……」

「じゃあけってーい! 行こっ!」

「でも、」

「大丈夫! 今日放課後仁くんと久しぶりにデートだから! その時いっぱいイチャつく!」



私のいちばんの懸念点の解消法を提示されてしまえば、あとはもう頷くしかなくて。あーちゃんに腕を引かれて、先輩たちが待っているという第2多目的室へ。

教室が近づくにつれて、小さかったドキドキが大きくなっていった。