「私の第一印象は?」
「同じ学校の子だ」
「ふふ、私もです。先輩だ〜めちゃ美形だ〜絵画だ〜って思ってました」
「絵画って。俺は小動物みたいって思ってた」
小動物。そういえば前も先輩にそんなことを言われた記憶がある。
「つまりちびってことですか?」
「ちょっと違う。ちっこくてかわいい」
「っ、な……つ、次! 先輩は、本当に購買だとジャムパンが1位?」
「ねぇ、まだ信じてないの? 本当だよ。あのいちごジャム、美味しすぎるんだよね」
「バイト先はどうやって決めましたか?」
「1度家族で食べに行ったことがあって、すごい美味しかったから」
「元カノ何人?」
「えー、そんなことまで聞くの?」
「先輩のこと教えてほしいって言ったじゃないですか」
「……ふたり」
「きゃー」
「なに、きゃーって。でもひおと出会う前だよ」
「たしかに、先輩から彼女の話とか聞いたことないかも!」
「他にはある?」
尽きない質問たち。他にもたくさん思いついているけれど、さっきから意識的に後回しにしているものがある。
……そろそろここで聞いてしまおうか。
「……私のこと、いつから好き?」
恥ずかしくて、つい声が小さくなる。だけどどれだけ小さくても、先輩は絶対に拾ってくれるのだ。
「んー……いつからだろ」
「文化祭……?」
「その時にはとっくに好きだったよ」
「、え」
「いつからかはわかんないけど、自覚した時のことなら覚えてる」
文化祭より前って、かなり前だ。じゃあ一体いつから──
「ひおが、好きなひとがいるって教えてくれた時かな」
「え……」
「もう1年経っちゃうんじゃない? 長いでしょ、片思い歴」
まずはびっくり。それから嬉しい気持ちが胸を満たしていく。
当たり前だけれど知らなかった。そんなにずっと、好きでいてくれていたなんて。


