願うなら、きみが






「やったー! 楽しみ!」



あーちゃんが嬉しそうにぴょんぴょん跳ねるのが可愛くて、つい笑ってしまう。きっと同じ気持ちに違いないと仁先輩の顔をちらりと見れば、案の定やさしい顔であーちゃんを見ていた。



「ん? なーに陽織ちゃん」

「いや、なんでも……!」

「ねね、由真と最近会ってる?」

「あー……会ってない、です」

「だよねー、学年違うとほんと会わないよね」

「はい……」



由真先輩の話が続いたので、ちょっとだけドキリとする。先輩にいちばん近いひとだから尚更だ。



「由真ね、元気だよ。勉強も頑張ってるし」

「ほんとですか? ならよかった……」



でもだからこそ、こうして近況を知ることができて安心するし嬉しい。だって少し前までは少なくとも週1で顔を合わせていたから、今全然会えていないこの状況には変な感じがしていたのだ。

とは言っても、そろそろ慣れてきたのだけれど。きっとこれから先は、それが当たり前になっていくのだろう。なんだか先輩とバイトしていたのがもう遠い昔みたい思えて、時間の流れは速いななんて思う。



「そういえばこの前あいつにね、自分のいないところで陽織ちゃんのこと困らせないで、って言われたんだよね」

「、えっ」

「いないところでも、陽織ちゃんのこと大事に思ってるようなやつだからさ。今度のもほんと、安心して来てよ」



ちょっぴりセンチメンタルな気持ちになっていれば、急にそんなことを言われて。寂しいような気持ちはすぐに上書きされて、胸の中がいっぱいになりかける。



「あ、これも困らせてるうちに入んのかな? 由真には内緒ね」

「わ、わかりました……」



由真先輩はここにいないのに、心拍数が上がってしまうから困る。だけど嫌なわけじゃなくて、でも上手く形容できなくて。



せっかくふたりと帰っていたのに、その後ずっと由真先輩のことを考えてしまう自分がいた。