願うなら、きみが






とは思ったものの、ここから3年生の学年種目、由真先輩のリレーが続いたので、あまり考えている暇は無かった。あーちゃんと一緒に先輩たちの写真を撮って、応援をして。あっという間に全ての競技が終わってしまった。





───「優勝は、白組です! おめでとうございます!」



歓声と拍手でどっと賑やかになる。うちのクラスの列からも、「やったー!」の声が聞こえる。貢献は少しもできていないけれど、やっぱり1位と聞くと嬉しい。

だけど閉会式も一瞬だ。終わってしまえばその喜びの声は落ち着いて、校庭からもひとはどんどん減っていく。

これにて今年の体育祭は終了である。先生がその場で点呼をし、解散となった。


仁先輩と写真を撮るから先に戻っててと、あーちゃんが行ってしまったから、ひとりで校舎へ向かう。すごい。先輩たちの集団へひとりで突っ込んでいけるなんて、さすがあーちゃんだ。

打ち上げまでの時間はあーちゃんと過ごす予定なので、何をして時間を潰そうかと考えていれば、「ねぇ、そこの2年生」と後ろから声をかけられた。



「っ、はい……!」



ドキリ、心臓が跳ねる。振り向くと、派手な髪色の女の先輩がふたり。見覚えがあるので背筋が伸びた。どちらも黄色のハチマキを首にぶら下げている。なんとなく、というか確実に嫌な予感がするけれど、逃げる勇気はない。


このふたりはたぶん、由真先輩の教室に初めて行った時に、先輩と話をしていたひとたちだ。



「ちょっといーい?」

「は、はい……」



全然よくないです。でもこの選択しか許されていないと思うので、仕方なく頷くしかなかった。

「こっち」と低い声で言われて、その後ろをついていく。ここではできない話なのだろうか。もくもくと嫌な気持ちが膨らんでいく。

校舎裏まで来て、やっとふたりが立ち止まってくれた。うわ、こういうの漫画でよく見るやつだ、と思っていれば、鋭い視線が突き刺さる。


何についての話なのかは、大体想像できた。だけど当たり前に怖いので、とてもじゃないけれど自分からは声を出せない。

だから静かに待っていれば、片方の先輩が大きなため息を吐いて、それから口を開いた。



「あなたさ、由真の彼女?」

「え……」

「だからー、付き合ってんの?」

「いえ……違います……」



なんでそうなる、とは思ったけれど、想像通り由真先輩の話だった。