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「おはようございます先輩」
「おはよう、ひお」
学校が終わってバイト先へ行けば先輩がいた。今日はシフトが被っている日だ。だけどこの前私が〝もう来なくても大丈夫〟的なことを言ったので、あれから先輩はシフトが被っていても教室まで迎えに来なくなった。
ちょっと寂しい気もしたけれど、これが普通なのだからすぐにまた慣れるだろう。
入り時間まではまだ時間がある。荷物をロッカーに入れようとして、ふと思い出した。この前八田くんに言われたことを。
「先輩、聞いてください! クラスメイトに先輩と私付き合ってると思われてました!」
「へぇ、そうなの?」
「でも安心してください、ちゃんと訂正しておいたので!」
「えー、そのままでよかったのに」
ロッカーからバイトの制服を取り出しながら、先輩がそんなことを言う。冗談なのはわかっているけれど、その冗談は良くない冗談だと私は知っている。
「な、嘘はだめですよ! 先輩好きな子いるんですよね……!? 誤解されたら困るじゃないですか!」
「あー……たしかに」
「もー! たしかに、じゃないですよ」
そう、先輩には好きなひとがいる。だけどどこの誰なのかは知らない。同じ学校のひとじゃないのかもしれない。
先輩が片思いをしているということを知ってから数ヶ月経った今、その恋はどうなったのだろう。
ここ1、2ヶ月は自分のことで色々と感情が忙しくて、あまり気にかけることができなかった。まぁ、気にかけたところで私にまた話してくれるのかは五分五分なのだけれど。
だけどもうすぐ先輩とこんなふうにゆっくり話せなくなるだろうし、普通に気になるし、まだ時間はあるし。
……ちょっとぐらい、聞いてみてもいいよね?
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「おはようございます先輩」
「おはよう、ひお」
学校が終わってバイト先へ行けば先輩がいた。今日はシフトが被っている日だ。だけどこの前私が〝もう来なくても大丈夫〟的なことを言ったので、あれから先輩はシフトが被っていても教室まで迎えに来なくなった。
ちょっと寂しい気もしたけれど、これが普通なのだからすぐにまた慣れるだろう。
入り時間まではまだ時間がある。荷物をロッカーに入れようとして、ふと思い出した。この前八田くんに言われたことを。
「先輩、聞いてください! クラスメイトに先輩と私付き合ってると思われてました!」
「へぇ、そうなの?」
「でも安心してください、ちゃんと訂正しておいたので!」
「えー、そのままでよかったのに」
ロッカーからバイトの制服を取り出しながら、先輩がそんなことを言う。冗談なのはわかっているけれど、その冗談は良くない冗談だと私は知っている。
「な、嘘はだめですよ! 先輩好きな子いるんですよね……!? 誤解されたら困るじゃないですか!」
「あー……たしかに」
「もー! たしかに、じゃないですよ」
そう、先輩には好きなひとがいる。だけどどこの誰なのかは知らない。同じ学校のひとじゃないのかもしれない。
先輩が片思いをしているということを知ってから数ヶ月経った今、その恋はどうなったのだろう。
ここ1、2ヶ月は自分のことで色々と感情が忙しくて、あまり気にかけることができなかった。まぁ、気にかけたところで私にまた話してくれるのかは五分五分なのだけれど。
だけどもうすぐ先輩とこんなふうにゆっくり話せなくなるだろうし、普通に気になるし、まだ時間はあるし。
……ちょっとぐらい、聞いてみてもいいよね?


