願うなら、きみが






「──結局、まだ本気で好きなんだと思います。そのことに彼が気がついちゃって、だから今日会えなくなって、受け取ってもくれなくなったんです」

「でもまだわかんないでしょ?」

「聞いてはいませんけど、わかりますよ。だって、ずーーーっと見てましたから」



聞くの、怖いな。だって、私の予想はきっと現実のものになってしまうから。絶対に、そうだから。それを確認するための作業なんて、虚しいでしかない。

だけど、しなければならない。ちゃんと星谷くんの口から聞かなければならない。こんな未来を想像できていなかったのは、私が甘すぎたからだ。完全に、浮かれていた。



「結局私は選ばれませんでした。はは、かなしー」



悲しいのを紛らわすのに必死なのか、なんなのか。涙が出なくなったと思ったら、今度はお喋りが止まらなかった。



「そのひと、図書委員なんです。だから私、彼が当番の図書室が好きでした」

「それは知らなかったな」

「はは、今初めて話しましたもん。毎週通って、本選んでもらって……その時間がすごく好きで」

「うん、そっか」

「黒髪で、背が高いんです。最初なんてきっと私鬱陶しがられてたと思うんですけど、やっと笑ってくれた時、嬉しかったなぁ」



同じ学校だし、先輩に星谷くんを特定されたら恥ずかしいなと思っていたけれど、もういいや、と。今まで先輩に話してなかったことが次々と口から出てくる。

そうすればまた、泣きそうになった。だからそれを紛らわすために、喋るしかなかった。


それでも、先生のことは黙っていた。言わなかった。自分が傷ついたからって、星谷くんを傷つけることはしたくなかったから。



「……先輩」

「ん?」



それからしばらく一方的に話して。そうしているうちに、だんだんとこころの整理がついてきて。


そして、ひとつの結論に辿り着く。






「もう……好きなのやめなきゃですね」



それは、いちばんかなしい答えだった。