サンゴ礁の魚たちから始まり、クラゲや巨大水槽などなど、魅力的なそれらにずっと目は釘付けだった。

久しぶりの水族館、それも、好きなひとと。それが更に水槽の中身をキラキラに見せてくれたのかもしれない。



「ペンギンかわいかったね〜」

「結構近かった」

「ね、いっぱい写真撮っちゃった。次はどこ見よっか?」

「その前にちょっと休憩しない?」

「あ、いいね。なんか飲みたいかも」



ペンギンの水槽を見終わった頃。ちょうど近くに小さなカフェスペースがあったので、そこで休むことにした。

さっきのチケットのお礼には及ばないけれど、星谷くんの分の飲み物代を支払うことに成功し、ふたりで向かい合わせに座る。



「なんかごめん、払ってもらって」

「むしろ私の方がごめんね。これじゃ全然足りないよ」

「じゃあ……ペンギンの写真ちょうだい? 俺上手く撮れなかったから」

「え、あげる! 送るねっ」



どれもかわいくて厳選できなかったので、とりあえず全部送ってみた。これでまた、星谷くんのカメラロールに私との思い出が増える。それが嬉しくてにまにましてしまう。


「送ったよ」と、緩んだ頬を抑えながらスマホの画面から顔を上げれば、ホットコーヒーを飲む星谷くんと目が合った。



「ありがと」

「どう、いたしまして……」



このタイミングで、急に緊張してくる。だって学校じゃない場所で、こうして向かい合っているなんて。振られた時には想像もできなかったことが起きているんだもの。

そして、今度は知りたくなる。どうして今日、私のことを誘ってくれたのか。


意味なんてない? それでもいい。



「……あの、星谷くん、聞いてもいい?」

「うん?」

「どうして今日……誘ってくれたの……?」



なんでもいいから、星谷くんの口から聞きたい。