リリィはしゅんと目を伏せた。
彼女に同情したわけではない。
いつもこうなのだ。
いつもアイルは女性を泣かせる。
相手の気持ちを考えられないのか?毎度思っていた。
しかし、そんなアイルが女性にモテるのは事実。

「はぁぁ…。」

自然とため息がもれた。

『やいコラ、盗み聞きとは良い度胸じゃねぇか。』

「げっ…またばれた。」

そして、アイルが告られる時、いつもリリィが近くにいたのも事実。

『窓開けろよ。そして飲みもんくれ。』

この俺様野郎のどこがいいのか…。そう思っているリリィもまわりの事を言えない。

「はいはい。」

魔法の言葉は彼に捧げるために練習していたのだから。