そして、この留置場にもどる。
今夜寝たらまた長く苦しい取り調べが始まる。
まぁ、僕達の悩みなんかいくらでも相談先はあった。
親に虐待されてるなら、いじめられてるなら、警察なりコールセンターなり、言うところは沢山あっただろうけど。僕は大人なんか信用しない。
全部僕の手でやってやるんだ。先生も親も、最低のクズだからね。
窮屈な居場所でも、3人で公園に集まるっていう少しの幸せを手に入れられたのは嬉しいことだ。
その小さな幸せすら壊してしまったけど。
幸せを得たことがないから、大切にできなかったんだ。
きっと普通の人ならもっと上手くやれていた。
...タラレバや言い訳はもうやめようか。


午前3時。取り調べ。
今日もまた、怖い警察の目の前にいる。
冷たい机にももう慣れた。
でも、手の震えはまだ収まらない。一生収まることはない。
でも、いいんだ。もういいんだ。
このおじさんとももうお別れだと思うと、少し寂しいかなぁ。

これを読んでる人、どういう意味か分かる?
あっまだ言わないよ?衝撃のラスト!は最後まで取っておくんだ。好きな物みたいにね。

さぁ、おじさんに別れの挨拶をしよう。
「おじさん...カツ丼だしてくんないの?」

「何を言ってるんだ。真面目に答えろ。」

そう言っておじさんはまた眉間にぐっとシワを寄せる。
その顔も面白い。
長い取り調べが終わった。ふぅ...今は20時か。

よし、これを読んでる人〜!みってるー?

あっ...スマホ越しに見てる君じゃなくて、

首吊ってる僕の目の前にいる警察官の事だよ。

僕に残った薄着1枚をうまく使って死んでやったよ。
今まで書いたことをよーく噛み締めて生きてね。
全部大人のせいなんだから。
まぁでも、手の震えは収まってラッキーだ。


ああ〜、作戦が上手くいって良かった。
作戦Aとは大違い!ちゃんと最後まで考えたんだよ。


作戦Bは、僕が死ぬまでが終わりだからね。


___________20XX年 10月XX日

タイトル:遺書 陸野 空

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そう書かれた紙を警察官の男がぎゅっと握りしめ、眉間にはシワが寄った。
「クソっ...」
星の輝く夜、
小さな留置場の中で少年の遺体が発見された。