『愁洩…皆…』
「大丈夫や…あいつらは絶対死なへん。死ぬよーな奴らちゃうからな」
『…うん。そーやんなっ』
「あぁ。……ッッとぉ!」
カァン!!!
恋嘩の背後からの不意打ちの攻撃を、反射よく受け止めた爻。
その見事な反射神経っぷりに、敵は舌打ちで返す。
「「…ちッ。」」
「姫には指一本触れさせへん…」
「「はッ!!そんな体でなにができんねん、ばーか(笑)」」
「こんなことできっけど?」
ガキッ!ガァン!!!
素早く鉄パイプを持ち替えて、敵のパイプを弾き飛ばし、殴りつけた。
『爻すっごー!』
「へへッ…《いってぇ…(痛)》うぉッ!!!」
恋嘩に余裕の笑顔を見せた後、体にケガの痛みがはしった。
その一瞬の隙を狙って、別の1人が爻に殴りかかった。
ガァン!!!
「っとぉー…危ねぇ…」
その敵の後ろから、危険を感じた臾が敵を殴りつけた。
「臾…わりぃ…助かった。」
「お前…あんま無理すんなよ。」
爻の傷だらけの体を見て、臾が顔をしかめる。
爻は「へっ」と小さく笑って、パイプをぎゅっと握りしめた。
「そぅもいかんねんなー…姫のこと、ちゃんと守ったげんと。」
「あほ。なにかっこつけとんねん。姫守んのはお前だけちゃうわ」
「あぁ…そーやな。」
みんな恋嘩を気にしながら、なるべくそっちに連中が行かないようにしていた。
その気遣いが、逆に恋嘩を焦らせる。
あたし…足引っ張ってる…あたしがここにおったら…邪魔や…
恋嘩は辺りを見まわした。
『!!!!!』
―――――ナイフを見つけた。

