「………」
愁洩が唇を離したとき…恋嘩はまだ、かすかに目を開けていた。
『…ありがとッ…大好き……』
そして恋嘩は…ゆっくり目を閉じた…。
もう一度、目を覚ますかのように、笑顔で…。
「……恋嘩…?」
目を閉じた恋嘩の頬に触れる。
呼びかけても…恋嘩は目を開けない。
『なにっ?』って…笑顔で返してくれるはずなのに……
「………まま?」
徹哉も、眠っているような恋嘩を見て、首を小さく傾げた。
「「「………姫???」」」
『恋嘩ッ…』
仲間たちと美蘭も呼びかける。
それでも恋嘩は笑顔で…目を閉じたまま…
仲間達の呼びかけに、恋嘩は…なにも答えなかった…。
「嘘やろッ?!おいッ!起きろよ恋嘩ッ!!!」
押し殺したはずの胸騒ぎと共に、恐怖が愁洩たちを襲った。
笑顔で…涙を流したまま、眠っている恋嘩。
今にも起きそうなのに…起きることはない。
「恋嘩ッ…恋嘩ッ…」
急に現実が見えてきた愁洩が、必死で恋嘩の体を揺らす。
「そんなッ………ありえへんやろッ…」
『いややッ…恋嘩ッ…』
「……???」
諒弥と美蘭が…声を震わせる。
なにもわからない徹哉は、キョロキョロと皆を見る。
慚が…目をぐっと閉じて涙を流しながら…徹哉をぎゅっと抱きしめた。
愁洩は、恋嘩を力強く抱きしめたまま、空に向かって叫んだ―――
「恋嘩――――――――ッッッッッ!!!」