「ここが兄さんの部屋だよ」
ノックをしてエドワード様は返事を待たずに入室する。後に続いて入ると、ベッドヘッドに背をもたれさせて座っているアルバート様とその横に立っているレティシア様がいて、メイドや近衛兵がそばに控えていた。
「ちょっと! 何、入ってきてるのよ! それにその女は牢屋にいなきゃダメじゃない!」
「俺が呼んだんだ。エミリー、大丈夫か?」
「は、はい」
ベッドの近くに寄ると、レティシア様の眼光はますます鋭くなる。私がビクついていると、エドワード様が間に入ってくれた。
「さて、アルバートを倒れさせた犯人探しの時間だ」
「あの女が作った栄養ドリンクを飲んで倒れたのよ? 彼女が毒を仕込んだに違いないじゃない!」
レティシア様は私を指さして指摘する。しかし、エドワード様はやれやれといった様子で首をすくめた。
「あの栄養ドリンクを作った鍋からは毒は検出されなかった。それに、興味深い証言があってね」
「はぁ?」
「話してくれるかい、マリア?」
「はい」
そばに控えていたメイドのマリアさんが前に出てきてレティシア様を睨みつけた。
「あの日、いつもならシールで封をしてある栄養ドリンクの封が鋭利な刃物で切られていたんです。だから、あの栄養ドリンクは一度誰かが開けています」
「だ、そうだ。レティシア、何か心当たりはないか? 君が持ってきたんだろう」
アルバート様がレティシア様をじっと見つめると、レティシア様は首を振った。
「わ、私は何もしてないわ! 愛しているアルバートに毒を盛るはずないじゃない!」
「ちなみにお前の部屋からアルバートの飲んだ毒の瓶が見つかったんだけど、これは偶然かなぁ?」
エドワード様が笑顔で首を傾げると、レティシア様は般若のような顔で睨み返した。
「毒の瓶はもう捨てたはずよ! 見つかるはず……あっ」
「近衛兵、今の証言を聞いたな? レティシアを牢獄に連れて行け」
「はっ」
近衛兵がアルバート様の命令でレティシア様を取り囲もうとするも、レティシア様はそれを避け、どこからか取り出したナイフを持って私に向かってくる。
「あんたのせいでっ! 死になさいっ」
