再び目を覚ましても冷たい牢屋の中にいることは変わらなかった。身体を起こすと、節々がズキズキと痛む。硬い石の上で寝たからだ。私は膝を抱えて座る。
「アルバート様、大丈夫かな。…………私、どうなっちゃうんだろう」
カシャンと檻の開く音がして顔を上げると、憲兵がこちらを睨みつけながらトレイを差し出していた。私は食べられる気がしなくて、無視すると、乱暴にトレイは投げ捨てられた。びちゃりとスープが足にかかるが、冷たかった。
私は再び顔を伏せる。じっと耳をすませていると、カシャカシャと甲冑の擦れる音がした。
「第二王子は聖女様の治癒で快方に向かっているらしいぞ」
「それは良かった。ちなみにエミリーの犯罪の証拠は見つかったのか?」
「いや。まだだ。エドワード様が調べてくれているらしい」
憲兵たちのヒソヒソ声が聞こえた。
エドワード様が調べてくれるなら、私の無実の証拠も見つかるかもしれない。希望を捨てちゃダメだ。
私はそっと顔を上げて、床に落ちているパンを拾って口にした。冷たくて固かったが、カビ臭くはないから大丈夫だ。口の中でふやかしながら食べ進める。
小さなパンはあっという間になくなってしまった。
よし、栄養補給はできたし、お腹もちょっと膨れた。これで少しは気持ちも明るくなるはずだ。これから、どうするか考えよう。
思考を切り替えるために両手で頬を叩くと、コツコツと焦った足音が牢獄に響いた。
誰だろう。
音のする方を見ていると、姿を現したのはエドワード様だった。
「やっほー! 助けにきたよぉ」
「エドワード様!」
「さ、お前、牢屋を開けてくれ」
「エドワード様の命令でも、それはできません」
「大丈夫。父さんから許可は取ってきた」
エドワード様は持っていた紙を憲兵に見せる。すると、彼らは慌てた様子で牢屋の鍵を開けた。ぎいっと金属の擦れる音と共に檻が開けられ、エドワード様が入ってくる。
「カビ臭っ! よく耐えたねぇ、偉いぞ、エミリー」
そう言って笑顔でエドワード様は手を差し伸べてくれた。私はその手を取って立ち上がる。身体はギシギシと痛んだが、それよりも安心が胸を満たした。
「エドワード様、ありがとうございます」
「お礼を言うのはまだ早いよ。ああ、パジャマのままでは人前に出られないねぇ。まずは部屋に戻って着替えよう」
「はい」
エドワード様の後について部屋に戻り、制服へと着替える。そして、私は王城の奥へと案内された。
