転生治癒師の私が第二王子を攻略してしまった件について


 自室のベッドでため息を吐きつつ、私は手鏡を見つめる。レティシア様の肌は私のよりずっと白いし、髪だって美しい白い長髪だ。それに顔立ちは天使のように整っている。敵わないな。
 私は手鏡をベッドに伏せると、ぼーっと正面の本棚を見つめる。寝る前に何か読もう。そう思って立ち上がると、部屋のドアが激しくノックされた。
「はい?」
 返事をすると、勢いよくドアが開き、アルバート様の近衛兵たちがどかどかと部屋に入ってきた。
「え?」
 そして、私を取り囲み、親の仇のように睨みつけてきた。何があったのだろうか。
「従軍治癒師エミリー。お前を第二王子暗殺未遂で逮捕する」
 アルバート様が暗殺されそうになった? どういうことだろう。
「暗殺未遂なんて、やっていません! 何があったのですか?」
「お前の作った栄養ドリンクだったか? それを飲んで王子が倒れたのだ。今、聖女様が必死に介抱している」
「毒なんて混ぜていません。何かの間違いです」
「いいや、お前の仕業だと聖女様が言ったのだ。連れて行け」
 私は後ろ手に拘束され、薄暗い牢屋に閉じ込められた。石造りのそれは酷く冷たく、汚らしい。私は必死に檻に縋り付いて、監視の憲兵を見上げる。
「本当に私はやってないんです。調べ直してください」
「その権限は私にはない。大人しくしていろ」
 憲兵の冷たい眼差しに私はトラウマを刺激され、思わず座り込んでしまった。私は本当に何もしていないのに信じてもらえないなんて辛い。胸がじんじん痛んで苦しくなる。私は膝を抱えて蹲るようにして横になった。
 どうして、こんなことになったんだっけ。
 私はゆっくりと目を閉じた。