転生治癒師の私が第二王子を攻略してしまった件について


「は、はい。すみません。ちょっと考え事をしてまして……」
「何か、悩みがあるのか?」
 アルバート様は心配そうな顔で私を見つめる。その顔すら胸がキュンキュンするのは好きだからなのかもしれない。
 ……私の秘密もアルバート様なら受け止めてくれるだろうか。
「あの、私も誰にも言ったことのない秘密があります。それを話してもいいですか?」
「エミリーがいいなら俺は受け止めよう。もちろん、誰にも話さない」
「ありがとうございます。実は私、前世の記憶があるんです」
 目を丸くしたアルバート様をじっと見つめながら私は続ける。
「私は別の世界で生きてきた記憶を十歳のときに取り戻しました。別の世界の私も治癒師みたいなことをしていたんですが、働きすぎてフラフラしていたところを馬車に轢かれて死んでしまったみたいなのです。荒唐無稽な話かもしれませんけど、本当です」
 アルバート様は少し考えるそぶりをしてから、私を見つめ返し、口を開いた。
「そうか。父上の蔵書で見たことがある。稀に他の世界で生きてきたという記憶を思い出す人がいるそうだ。その人たちを転生者と呼ぶらしい」
「転生者……」
 私の他にも転生した人がいるなんて思わなかった。その人たちも私と同じ地球からやってきたのだろうか。
「私以外にもいたと聞いて少し安心しました」
「もしかして、新しい方法も前世の記憶から考え出したのか?」
「はい。でも、前世の治癒は庶民がやっている治療法に近かったですけど……」
「その記憶から新たな治癒魔法を思いつくのはやはりすごいな」
「ありがとうございます」
 アルバート様に褒められて私は胸がいっぱいになる。恋って、こんなに満たされた気持ちになるんだ。
 その後も紅茶が尽きるまでアルバート様と色々な話をした。帰り道またレティシア様に睨まれたのはびっくりしたけれど、足元を掬われないように気をつけなきゃと思い直した。