転生治癒師の私が第二王子を攻略してしまった件について


 次の日の夜も私はアルバート様のところに向かい、ポーションを飲んでもらった。そして、経過観察を済ませると、アルバート様は紅茶を淹れてくれた。
「昨日はなんのもてなしもできなくて、すまなかった」
「い、いえ。ありがとうございます。いただきます」
 カップを受け取って椅子に座り、一口飲む。芳醇な紅茶の茶葉の旨みに目を見開く。これは軍の支給のものとは全然違う。私は目を丸くしながら、アルバート様を見つめた。
「……美味しいです」
「ふふ。よかった。実は俺の私物なんだ。戦地にいると、あまり美味いものに巡り合えないから持ち込んでいる」
「貴重なものをありがとうございます。美味しいものを食べると幸せになりますよね」
 アルバート様は微笑みながらカップを傾ける。そして、小さく頷いた。
「俺は美味しいものを食べるのが趣味なんだ。本当は茶菓子も持ち込みたいが、日持ちしないからな……」
「そうなんですね。あ、今日の夕飯の鶏肉のチーズ焼きは絶品でした」
「俺もそう思う。村の存在はありがたいな」
「そうですね。食料を分けていただけるのはありがたいです」
「君の村でもこういう食事だったのか?」
「いえ、貧しい村でしたから、野菜の切れ端の浮いたスープがほとんどでしたよ」
 顔を曇らせたアルバート様は「そうか」と小さく呟いた。私は慌てて口を開く。
「でも最近は私が仕送りしているので少しずつ良いものが食べられるようになってきたみたいです。私も軍で良いものを食べさせてもらってますよ」
「軍の食事の予算を上げたのは、実は俺なんだ」
「え、そうなんですか? 確かに二年前くらいから一気に良くなりましたけど……」
 私が首を傾げると、アルバート様は優しく微笑んだ。