翌日の朝礼で麓の村に移動して一週間ほど休息を取ることが発表された。怪我人の多さを考慮してのことだという。私たちは野営を片づけ、麓の村へと向かった。
その村は栄えている村らしく、私たちを歓迎してくれた。近くの森で野営を整えると、村人が食料や水を持ってきてくれて、久々の美味しい食事を摂ることができた。美味しい食事は元気が出るから好きだ。今日の食事はシチューが絶品だった。村特産のチーズが入っていて美味しかった。
夜になり、みんなが村から提供された酒を飲んでいる中、私はポーションをアルバート様に届けることを思い出し、アルバート様のテントへ向かう。そして、テントの前に立ち、敬礼する。
「アルバート様、失礼します。エミリーです。今日の分のポーションをお持ちしました」
「入ってくれ」
「失礼します」
テントの中に入ると、アルバート様は机に向かって書き物をしていた。私が近づくと、顔をあげ、優しい笑みを浮かべた。
「こんばんは、エミリー」
「こんばんは。あの、これが今日のポーションです」
「ありがとう」
「右腕の経過を観察したいので、こちらに出していただけますか?」
「ああ」
アルバート様の出した右腕の包帯を取ってから両手をかざす。目を閉じて怪我の具合を観察すると、昨日のワイヤーはきちんと骨を固定しているし、傷口の縫合もほつれていないことがわかった。
瞼を開けて安心させるように微笑む。
「経過は良さそうです。もうしばらく安静にしてください」
「わかった」
「包帯、巻き直しますね」
「ああ」
持ってきた清潔な包帯を添木とともに、するすると巻いていく。綺麗に巻けたところで、顔を上げると、アルバート様は私をじっと見つめていた。
「あの、どうかしましたか?」
「もしこのあと時間があるなら少し話さないか?」
「え? 時間は大丈夫ですけど……」
「じゃあ、その椅子にかけてくれ」
「は、はい」
緊張しながら椅子に腰掛け、アルバート様の方に向き直る。すると、アルバート様は苦笑した。
