「……し、ず、く…ぅ?」
“雫玖”という人間を先輩は頭の中で大検索しているようだった。
またも固まっている。
それもそうだ。
中学の時雫玖はメガネを掛けて地味に、あまり目立たないようにしていたから。
俺が試合に出た時も2人は応援しに来てくれたけど先輩の目には隣にいた海しか映らなかったのだろう。
「柊木雫玖ですよ、先輩会った事あるのに」
「やべ、わっかんねぇ…、ごめん…」
「別にいいですけど。とにかく、海は彼氏いるんで諦めてください」
「結局幼なじみに取られんのかよぉぉぉ!」
せっかく連絡先交換出来ると思ったのに、と嘆いた。
海は割と誰とでも仲良く出来るタイプなのに連絡先を交換してないなんて珍しい。

