うみに溺れる。



「海を?てか、俺も人数に入ってるんですか」

「おう、そうだけど。お前彼女いないだろ?」

「いないけど…」

「俺、前から海ちゃんの事気になってたんだよ!空人が誘ったら来そうじゃん!」

「いやぁ、あいつは…」

「何、お前もしかして海ちゃんの事好きなのかよ」


その言葉に心臓がドクン、と揺れた。
いや、いやいやそれはない。

空人?と顔を覗き込む先輩から顔を背け離れた。


「いや、あいつ彼氏いますよ」

「……はぁっ!!???」

「うっさ、」


廊下に響き渡り、周りにいた人達全員の視線を集めてしまった。
俺が小声ですみません、と言う中先輩はさっきの俺の言葉に固まったままである。


「はっ、はっ…ぁ、いっ、いつ!?」

「ちゃんと息してください」

「いつだよ!!」

「ついこの間ですよ」

「嘘だろっ!?」

「いやマジで」

「相手は誰なんだよ!!」

「……雫玖です。俺らのもう1人の、幼なじみ」