うみに溺れる。



…でも、中2の冬に親父さんがアルコール中毒で亡くなった時の雫玖は忘れられない。


俺らが病院に駆け込んだ時にはもう既に遅くて、その場に立ち尽くす雫玖とおばさんが親父さんの枕元の椅子に座っていた。

暴力を振るっていたとはいえ雫玖にとって父親には変わりないと思い、なんて声をかけたらいいのか迷った時だった。



『……ふふ』

『ぇ、』

『ふはっ』

『お、おい、』

『やっと、やっと……』



海も、海の両親も俺の親も皆泣いていた。
俺の隣には皆に聞こえないようにクスクス笑う雫玖。
よく見るとおばさんは親父さんを見ていたわけでなく、ただ何もない空間を呆然と眺め続け完全に疲弊仕切っていた。

それが、暴力に塗れた人の本当の姿と柊木家に平穏が訪れたという証だった。