うみに溺れる。



「……痣、全部消えた?」

「…そりゃあ、もう1、2年経ってるからね」

「そうだな」

「……あいつは、欲しいものは何を犠牲にしてでも手に入れるような奴だったんだ」

「……」

「僕はそんなあいつの血が半分流れてる。考えただけで気持ち悪いよ」

「雫玖、」

「僕は自分の機嫌次第で大事な人を殴ったりしたくないし、今までそんな衝動に駆られたこともない」

「当たり前だろ、雫玖は雫玖なんだから」

「でも、根っこはあいつと同じだ」


よく海にあの痣がバレなかったと思う。
よく見ると半袖の際で見え隠れしていたし、時折痛そうに顔を顰めていたというのに。

雫玖は抗っていた。
父親を反面教師に、常に冷静で怒っているところなんて滅多に見た事がない。