ついこの間やっと学校にまともに行けるようになった。
…と言っても、未だに早退する時もあるけど。

事情を知っているクラスメイトや先生達はそんな私を憐れむような目で見てくる。


【か わ い そ う に】


そんな目で。

起きたままのスウェット姿でお母さんの後ろを追うように階段を駆け下りリビングのドアを開けた。
そこにはまるで我が家のようにソファでくつろぐ空人の姿があった。


「やっと起きたのかよ」

「…なんで居んの、」

「はー?なんでってお迎えに……ってブッサイクだな」


スマホからこちらに視線を移した空人が私を舐めるように見て鼻で笑った。

…朝からなんなんだコイツは。


「何突っ立ってんだよ、早く準備しろよ」

「はぁ?」

「お前のせいで俺まで遅刻したらどうすんだよ」

「じゃあ先に学校行ったらいいじゃん!」

「俺がこうやって迎えに来ねぇと、お前まともに学校行かねぇだろうが。幼なじみとしての優しさだよ、や、さ、し、さ!!」


確かに、私が最近まともに学校へ行けているのはコイツのこの無理矢理さのおかげでもある。

だがこの態度が気に食わない。

これ以上なんと反抗しても全部偉そうに言い返されるのがオチなのでため息だけ残して洗面所へと向かった。