意地悪な兄と恋愛ゲーム



 真っ暗な廊下を突き進もうとする晴斗の背中を、美咲は慌てて追いかけた。


「晴斗!」


 振り向く晴斗の胸に、しがみつくように抱きつくと、「行かないで…」と、振り絞るような声で言った。


「また、一人になるのは怖い…」


 底知れない恐怖の中で差し伸べられた温もりを、また手放される事が不安でたまらなかった。


 晴斗は、胸の中で震える美咲の背中にゆっくり手を回すと、「そうだね、ごめん」と、謝った。


「一人にしない。大丈夫だよ」


 頭にポンポンと、大きな手の平が被さると、安心感からまた、泣きそうになってしまう。


 晴斗の行動次第で、天国と地獄を行ったり来たりしているみたいだった。